「広報」と「広告」、違いを説明できるだろうか

広報(PR)と広告は、似たような意味合いに感じられるかもしれないが、その中身は全く異なる。言葉の成り立ちで見ると、その違いがわかりやすい。

  • 広報(PR) = ひろく報せる
  • 広告 = ひろく告げる

報せる(知らせる)主体は第三者、告げる主体は自分自身。この「誰が主語か」の違いが、PRと広告のあらゆる差を生んでいる。

Non PaidかPaidか

もっとも実務的な違いは、掲載費用の有無だ。

  • PR = Non Paid:メディア露出という視点では、掲載費用がかからない
  • 広告 = Paid:広告主が掲載費用を支払うことで露出する

テレビの情報番組やバラエティー番組で、企業の広報担当者が商品やサービスを紹介している場面を見たことがあるはずだ。あれはほとんどの場合PRであり、企業側はテレビ局に掲載費用を払っていない。番組側は「面白い企画・新しい情報」を求めており、企業側は「広告費をかけずにメディアに露出したい」という思惑が一致した結果である。

誰が対応してくれるかも違う

窓口となる相手も異なる。

露出先費用メディア側の窓口依頼先
PR番組内・記事内Non Paid制作部・編成部PR会社/自社広報
広告CM・広告枠Paid(数百万〜数千万円)広告部広告会社

広告費用は数百万円〜数千万円単位になることも珍しくない。一方PRは、PR会社に依頼する場合でも月額数十万円台のリテナー契約から始められることが多く、中小企業にとってはPRの方が現実的な選択肢になりやすい。

PRと広告は「敵」ではなく「両輪」

PRと広告は提供する会社も窓口も異なるが、広告主側がこの2つをうまく組み合わせると、大きな相乗効果が生まれる。たとえば新商品の発売前にPRでプレス発表を行い(地ならし効果)、その後広告でメインターゲットに一気に告知する、という順番を組むことで、PRの持つ「第三者としての信頼性」と、広告の持つ「露出量・タイミングの自由度」を両方活かせる。

中小企業の場合、いきなり大きな広告予算を組むのは現実的ではない。だからこそ、比較的低コストで始められるPR、特に「ネットPR」からスタートし、効果を見ながら広告を組み合わせていくのが現実的な進め方になる。

執筆者:六角健二

1987年より東急電鉄系広告会社で企画営業として、ソニー系のプロジェクトをハンドリング。2000年に米国ストラテジックインターネットサービスプロバイダーとのジョイントベンチャー設立メンバーとして参画。2002年からは取締役クライアントパートナーとして、大手企業のブランディングやWebマーケティングに従事。2007年よりIMC型広告コンサルティングを経て、2013年に株式会社エルテックスに入社。エルテックスでは、自社製品のUI開発やECサイトのリニューアルプロジェクトに参加。2020年に株式会社A5bpを設立し代表取締役に就任、以降中小企業のブランディングやマーケティング&コミュニケーション支援に専念している。